からすのまち、いずみがもりのてんぷらやさんが火事になり、家は残らず燃えてしまいました。
からすのパンやさんちのレモンさんとオモチくんが火事のお見舞いにやってきましたが、
てんぷらやさんのおかみさんは行方不明に。せっかくてんぷらの揚げ方を覚えた息子さんは目を怪我してしまい、
てんぷらやさんのおじさんは涙に暮れ、もうお店を再建する元気もありませんでした。
そこでレモンさんとオモチくんは、パンやさんからの差し入れを手渡し、自分たちに揚げ物の作り方を教えて欲しい、お店を手伝わせて欲しいとおじさんにお願いします。息子の友達のジロくんもおじさんを励まし、次の日には仲間を集めて火事のあとをたちまち片付けて、前よりしゃんとした店を作り、店で使う道具も揃えました。
その様子を見ておじさんも気をとりなおし、レモンさんとオモチくんと息子のイワくんに、てんぷらあげの「秘伝」の授業を始めたのです。
いずみがもりのみんなの応援で、日に日に元気を取り戻していくおじさんのもとに、無事おかみさんも帰ってきます。
てんぷらやさんにはからすのみんなが大集合。美味しいてんぷらでお祝いの宴が始まります・・・!
1973年に発売され、以来ずっと子どもたちに愛され続けた『からすのパンやさん』。
本作は、その40年ぶりの続編4部作の第3弾です。
子どもの頃大好きだった、自分の子どもと一緒に楽しんだ、そんな大勢の方々の想いと期待に堂々と応える、続きのおはなし。
いつもは静かで楽しいいずみがもりで起こった大事件からはじまる本作は、作者のかこさとしさんが、戦災や震災のときの経験ーー被災した人を助ける方々に接して教わったことーーが、きっかけとなっているそうです。読み終わった後、温かい気持ちで胸がいっぱいになる、そんな傑作です。
(金柿秀幸 絵本ナビ事務局長)
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