靴屋のシロクマ家族が、新しい家を探して旅をしていると、山の中にぴったりな空き家を見つけました。
それは、大きな大きな・・・靴のかたちをしていたのです!
シロクマ家族は、早速空き家をつくりなおします。
1階が靴売り場、2階と3階が家族の部屋、4階は倉庫。そして、一番上の屋根裏部屋が靴工房です。
入り口のドアはつま先。ブーツの形を生かした、何て素敵なお店でしょう。
たちまち大評判となったシロクマ靴屋。連日の大にぎわいに、家族みんなで対応します。
靴職人のおばあちゃんとお父さん。お母さんと3兄弟たちは売り場で大活躍です。
でも家族は、ふと思うのです。
「一体誰が、このくつのおうちを建てたのでしょう?」
その謎は、次の日に解けることになります。思いがけないお客さんが、シロクマ靴屋を訪れるのですが・・・。
お話が始まった途端、まずみんなの目を釘付けにしてしまうのは、シロクマ靴屋の断面図です。細かく描かれたカラフルな靴や、工房の様子、ストックが天井まで積み上がっている倉庫の様子など、まるでミニチュア模型を覗いているかのよう。とにかくこの絵本、色合いといい、登場する小物といい、お洒落で愛らしいのです。そして何より動物たちのキャラクターが魅力的。
作者は、何とこの作品が絵本デビュー作となるおおでゆかこさん。素敵な世界観はもちろん、家族の強いつながりを感じさせてくれるストーリーは、これからたくさんの子どもたちに読み継がれていく予感がしますね。コマ割りの展開や、縦開きの迫力の場面など、夢中にさせてくれる工夫もたくさん盛り込まれています。
さて、このくつのおうちの持ち主は誰だったのでしょう。
冬のギフトにもぴったりな一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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