ある日、うさぎのぼうやは言います。
「ぼく、いえでしようかな」
おかあさんうさぎは言います。
「あら、たいへん。おまえは わたしの だいじな ぼうやだもの。
おいかけていかなくちゃ」
さて、ここからぼうやとおかあさんの攻防戦が始まります。
ぼうやがお魚になると言えば、おかあさんは漁師になって捕りにいくと言い、
小鳥になって頭の上を飛んでいくと言えば、止まりたくなるような木になると言います。
では、ヨットになると言えば?
サーカスのテントに逃げ込むと言えば?
人間の男の子になって、家に飛び込むと言えば?
おかあさんの答えは・・・素敵!!
こんな答えが待っていたら、やんちゃなぼうやだってとろけちゃう。
いえいえ、わかってて逃げ出したのかもしれないね。
いくらおかあさんが大好きだって、一人でどこかへ行きたくなるもの。
想像の世界で、ぼうやはどこまでだって遠くへ行くことができます。
わが子を見守る母親の愛情を、強く感じるこの物語。
どこかで聞き覚えがある方もいるでしょう。
そう。マーガレット・ワイズ・ブラウンの傑作、1942年32歳の時の作品です。
なかがわちひろさんの訳、長野ヒデ子さんの絵で新しく生まれ変わったのです!
雰囲気はがらりと変わり、親しみやすくなりました。
それでも、伝わってくる温かさはそのままです。
七変化するぼうやとおかあさんの姿の可笑しいこと、可愛らしいこと。
親子で何度でも、そのやりとりを楽しんでくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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