おじいちゃんと孫の絆を描き出したお話です。この絵本のキーワードは「ごくらく(極楽)」。おじいちゃんとの楽しい時間、やがて訪れる死。二つのまったく異なる場面を、このキーワードが結びつけます。登場人物の心情が切々と伝わってくる文章、表情豊かな絵。心揺さぶる一冊です。
読み聞かせボランティアのグループで
練習を兼ねて,読み合いっこをしています。
その中で,大人の方が実際に涙を流しながら聞いてくださった絵本を 紹介します。
大好きな長谷川義史さんの絵です。
本の中から笑い声が聞こえてきそうな 元気な絵が
今回は,近しい人の死についてを 描いています。
西本鶏介さんは,孫に手作りのおもちゃを作ってあげるような,おじいちゃんなのかしら?
文章で綴られる おじいちゃんと孫の絆の強さが,
後から ずしんと心に効いてきます。
文章は,僕の言葉で語られていきます。
おじいちゃんが,園バスの送り迎えをしてくれること。
他の子は,おかあさんに迎えに来てもらっているけど,
僕は,おじいちゃんが迎えに来てくれるのが,嬉しい。
そんな孫が,おじいちゃんも嬉しい。
おじいちゃんと一緒に,お風呂に入ること。
お父さんやお母さんが,一緒に入ろうと言っても
おじいちゃんと入るのが一番楽しい僕。
そんな孫と一緒に入るお風呂が,「ごくらくごくらく」なおじいちゃん。
こんなに強い絆で結ばれた二人を引き離す
「死」というもの。
腰が痛くて,病院に入院することになった頃から
お父さんやお母さんの顔に,その影が見えます。
何も知らずに「元気になったら温泉に行こうね」と
おじいちゃんの手を握る僕…。
このシーンあたりから,聞き手の表情は曇っていきます。
「まさか,ほんとに極楽に行ったりは,しないよね…?」
読み手は,ここまでは 僕の気持ちのまま,
明るく元気な声で,読み進みました。
一転,喪服を着たお母さんに抱かれる僕の絵が,
おじいちゃんの死を知らせます。
抑えた声で読んでいると,
聞き手の鼻をすする音が,聞こえました。
「おじいちゃんは,ほんとのごくらくへ いったのよ」
最後のページは前向きな声で,僕の気持ちを読みます。
「死」は別れではない,
きっと僕と共に,おじいちゃんは居るよ という気持ちを込めて。
この絵本は,
近しい人の死を 迎えたことがある大人には,
救いのような効果が,あると思います。
涙を流して人の死を悼み,
その人との絆を,自身に取り入れて生きていこうという
メッセージを感じました。
泣いて下さった方の感想は
「まさか 本当に 極楽へおじいちゃんが行く とは思わなかった。
でも。。。(涙を拭いながら)。。。いい絵本ですね。」
でした。 (あんぴかさん 40代・ママ 女の子15歳、女の子8歳)
この作品を紹介しているサイトを見る
>>> ユウchan「おじいちゃんのごくらくごくらく」
|