まず気になるのは表紙の絵。
丸くて、茶色くて、うっすら透けているこの不思議なもの。
これが、ある朝おじいさんとおばあさんの家の前の木に、引っかかっていたのです。
一体なんなのでしょう。
さわってみればペトペトしている、においをかげばちょっぴり甘そうなにおい。
「なあ ばあさん、なめてみようか」
ふたりは、おそるおそるペロリ。
「おい!」「しい!」
おじいさんもおばあさんも我慢できなくなって、ついつい…。
その夜、ふたりを訪れたのは黄色くて、山のかたちをしている美味しそうなあの子。
ふたりは、思わずはっとします。「あれはこの子のぼうしだ」
だけど、体中をプルプルふるわせながら、「ぼうしをなくした」と泣いている子の前で、まさか本当のことを言うわけにはいきません。だってふたりは、あのぼうしをほとんど!?
さあ、どうやってこのピンチを切り抜ける?
美味しそうで、不思議で、すごく可笑しい。
人気作家シゲタサヤカさんが、またまた大笑いできる絵本をつくってくれました!
拾ったもの、それも正体不明なものを食べてしまうなんて…っていう指摘を忘れるほど、その「ぼうし」は魅力的なのです。それはもう、おじいさんもおばあさんもうっとり、うっかりしてしまうはずです。
ふたりの連携プレーの見事さもふくめて、みどころはたくさん。
シゲタさんの魅力がたっぷり満喫できるこのお話、子どもも大人も一緒に楽しんじゃってくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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