「ガレット・デ・ロワ」をご存知でしょうか? 日本語にすると「王さまのお菓子」、フランスの新年に欠かせない伝統的なお菓子です。ガレット・デ・ロワのお楽しみは、このお菓子に隠されている「フェーヴ」という小さな陶器の人形が誰にあたるかということ。フェーヴを引き当てた人は、その日、王さま女王さまとなり、紙でできた王冠を被って皆から祝福されるのです。こちらは、そんな幸せなお菓子をめぐる物語です。
ここはケーキ屋さんの調理場。パティシエのブランさんが、フェーヴの小さなお人形ミリーに声をかけます。「さあ、いっておいで。きみはだれをしあわせにするんだろうねえ」。ミリーはアーモンドクリームがたっぷりつまったパイの中に入ります。わたしが誰かを幸せにすることができるんだろうか? ミリーは思い悩みながらも、ある家族の食卓へ。ミリーの優しい気持ちは、周りの人の心に伝わり、やがて奇跡を起こします。
作者は「すみれちゃん」シリーズ(偕成社)や『しろうさぎとりんごの木』(文溪堂)などの著書の他、数多くの絵本の翻訳も手がける石井睦美さん。イラストを担当するのは、『レミーさんのひきだし』(小学館)など、異国情緒溢れるレトロなイラストが人気のくらはしれいさんです。感情豊かな優しい文章と、大人っぽく甘い雰囲気のイラストがぴたりと合って、気品ある作品に仕上がっています。
物語はもちろん、隅々まで趣向を凝らした作品です。表紙見返し部分はまるでお菓子の包紙のようですし、目をひく絵本の帯はなんと王冠になります。また、カバーをめくってみてください。また違った絵が現れますよ。ぜひ手にとって確かめてみてくださいね。
(出合聡美 絵本ナビライター)
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ガレット・デ・ロワ
「王さまのお菓子」―それは、しあわせのお菓子。
大切な誰かを想う、めぐりゆく優しさを描いた物語。
・フランスの新年を祝うお菓子、「ガレット・デ・ロワ」を題材にした絵本。
・陶器でできた小さなお人形が主人公。大切な誰かを想う、
めぐりゆく優しさを描いた物語。
・石井睦美さんの抒情豊かな文章と、くらはしれいさんの
異国情緒溢れる絵が紡ぐ珠玉の一冊。贈り物にもおすすめです。
・絵本の帯が王冠に! 王さまや女王さまになって、
遊ぶことができます。どうぞ楽しみください。
・協力/藤森二郎(ビゴの店)、大森由紀子(フランス菓子・料理研究家)
・4、5歳から大人まで
だれかのよろこぶ顔が見られることも、そのひとのしあわせを願うことも、しあわせなこと−石井睦美
ミリーは、とうきでできた おにんぎょうです。
豆つぶほどの大きさで、フェーヴとよばれています。
「さあ、いっておいで。きみは だれを しあわせにするんだろうねえ」
パティシエのブランさんに そういわれたミリーは、
アーモンドクリームがたっぷりつまった パイのなかへ―。
フランスの伝統菓子、「ガレット・デ・ロワ」を題材にした作品。
大切な誰かを想う、めぐりゆく幸福の物語。
子どもから大人まで楽しめる、贈り物にもぴったりの一冊です。
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