おばけたちが暮らすぴーかーぶー村のシリーズ第2弾は、思わず体がこおりついてしまうほど、こわい……じゃなくて、おばけたちが本当にこおってしまう物語です。かわいい雪女のゆきちゃんと、小さな雪ねずみが巻き起こす大騒動のはじまり、はじまり!
ある日、ゆきちゃんのもとに、遠い氷の国に住むママから小包が届きます。箱の中から飛び出してきたのは、まっしろで、ぴかぴか光るしっぽを持った、雪ねずみのあちゅー。氷の国でペットとして大人気なんですって。
でも、この雪ねずみ、ちょっとカゼをひいているみたい。「はっくちゅー!!」とくしゃみをすると、なんと、ゆきちゃんのお気に入りの帽子もガイコツの郵便屋さんもカチンコチンに。あっと驚くまもなく、あちゅーは森の中へと逃げだします。
さあ大変! あちゅーのくしゃみをあびたら、みんながカチンコチンにこおってしまいます。ゆきちゃんは必死であとを追いかけるのですが……。
おばけたちのこおりついた姿が、ダイナミックで迫力満点! とっても魅力的なんです。誰もこれから自分がこおってしまうなんて、夢にも思っていないですから、無防備ですし、とんでもない姿だったり、アクロバティックな姿勢だったり。
ドラキュラ男爵は、自慢のするどい歯をお手入れしているまっさいちゅう。ほうたいでぐるぐる巻きのミイラさんは、池でお洗濯中。青、ピンク、黄色のおばけさんたちは木にさかさまになったり、寝ころんだり……。おそろしい顔をしているおばけもいるのに、カチンコチンにこおった姿は、なぜかユーモラスなんですよね。
そして、なかなかあちゅーをつかまえられないゆきちゃんがとった思いがけない解決法は……絵本を読んでのお楽しみ。そのページを開いた瞬間、ゆきちゃんの変わりっぷりに、思わず「うわああ」と驚きの声をあげてしまいました。もう最高!
おばけたちが見せてくれる「かわいいけどこわい」「おかしいけどこわい」というギャップが、物語をさらに楽しくします。こわいお話が好きな方にも、楽しいお話が好きな方にもオススメの一冊。絵の中に隠れているあちゅーを探すのも楽しいですよ。おばけたちの寒そうな姿(見たことないですよね!)を、ぬくぬく温かいお部屋で楽しんでください。
(光森優子 編集者・ライター)
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