宿題、お手伝い、部屋の掃除……。
やりたくないことがいっぱいの男の子は、とあるアイデアを思いつきます。
「お手伝いロボットを買って、そいつにぼくの代わりになってもらおう!」
ところがロボットは、ニセモノだとバレないためにあなたのことを教えてほしいと、しつこくしつこく質問してきます。
「『ぼくは○○』って感じで、いっこずついってみましょうか。」
ぼくは「できることとできないことがある」。
ぼくは「マシーンでもある」。
ぼくは「いろんな居場所がある」。
ぼくは「ひとりしかいない」。
「しかたなく考えてみたけれど、自分のことを話すのって、むずかしくてめんどくさい」
はたして男の子は、ロボットをりっぱな「ぼくのニセモノ」に育てることができるのでしょうか?
大ヒット作『りんごかもしれない』に続いて、ヨシタケシンスケさんが独特の視点で描く「考える絵本」!
こんどのテーマは「自分自身」。
どれだけ偉大な人間になるかよりも、どれだけ自分のことを好きかどうかが大切。
場所によって自分の役割は違うから、それぞれによって自分を使い分けている。
他人の目から見た自分はそれぞれにちがうから、自分のことを知っている人間の数だけ自分のイメージがある。
大人にもむずかしい、そんな「自分らしさ」という哲学を、とぼけたテイストでやさしく考えさせてくれます。
みどころは、主人公の男の子のかわいらしさ!
彼が、どんな友だちに囲まれ、どんな家族に育まれ、どんな未来を想像しているのか――。
シンプルながらとても感情豊かな、ヨシタケシンスケさんのそのかわいらしい絵も相まって、物語がすすむにつれて明らかになっていく男の子の個性が、とても愛おしく感じられます。
小学生から高校生、もちろんもっと大人まで、幅広くいろいろな年齢の人に読んでほしい、考えさせられることの多い作品。
もっと幼いころに出会っていたらと、惜しく思わせるほどの一冊です。
さあ、いよいよ「ぼくのニセモノ」が完成!
いつまでバレずにいられるでしょうか……?
(堀井拓馬 小説家)
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